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ACXプロトタイプCase2中編 

(機体に慣れてないな、あれは……)
 少しは心得がある、でもショーに不参加だったんだからベンチ入りだろう。
 機体の感覚を確かめるように飛んでいるのがその証拠。
 傲っていた。アマチュアを見下すプロの目がそこにあった。
「こらーずるいぞー!」
「お前良いとことりやがってー!」
 管制塔経由で聞こえる同僚-新入りにやり込められたダメ先輩-の愚痴は無視する。
(悔しかったら演習で一本取ってみろってんだ)
 不慣れ故の違和感を滲ませながら飛ぶ機体を見据える。
-言い訳なんてさせねえからな。
 背面飛行から低空へのUターン。速度に乗った機体で高空へのUターン。
 そこから滑らかに螺旋を描く軌道をゆっくりと、プレッシャーを与えるつもりでトレースする。
 再びスプリットS、インメルマンターン、そしてバレルロールと続く。
 基礎のおさらいを終え、水平飛行に移ったその瞬間、音が聞こえた。
 スイッチが入ったような、軍靴を履いた足を揃えるような、そんな音。

-エンゲイジ!

 交戦開始。
 バーナーを焚く、飛びかかった先にいないのは承知の上。
 複雑にうねる相手を見据える。トリガーを引く。
 機体の限界ギリギリの速度でターンする機体が見える。
 模擬戦の為に取り付けられたシステムに、命中の表示はない。
-そうでなくちゃ!
 高Gによる旋回、キャノピーを晒す危険を冒して、しかし確実な回避。
 時に大胆に、時に繊細に、計算され尽くしたような機動。
 奢りを払拭するには十分だった。
 これまで、空軍に籍を置いてから、初めてで合う強敵。
 そのまま、高揚感に浸っていれば、それで終わったのかもしれない。
-なめられてる。
 少なくとも、礼は尽くす。
 そうするべくあらゆる知識と技術を総動員して迎え撃っていた。
 気付いてしまった。それが相手に何のプレッシャーも与えていないことに。
-ふざけやがって!!
 悠々と飛ぶ「敵機」を改めて睨み据える。
 そこから1分-彼は「悪魔」を見る。
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[ 2006/09/16 16:32 ] エースコンバット | TB(0) | CM(0)
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